独立系FP解説 保険の見直しは必要だが お勧めを聞いてはいけない【下町FPブログ Blog】
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保険の見直しは必要だが お勧めを聞いてはいけない
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FPブログ解説 保険大国日本、不安は保険で解決できるのか
以前から保険についてはいくつもの記事を書いていますが、今日は保険の見直しのお話です。日本はある意味保険大国です。
公的保険も充実している中で民間保険にも世界的にたくさん入っているという事実が世界比較でもあります。
保険についてはFPの立ち位置によって回答が違ってきます。
たとえば、住宅を購入する時のFPに話を聞けば、今の家計の必要保障額は、住宅ローンを組んで団信生命に入ると保障額も減らせて保険料の支払いも減ると伝える事もあるでしょう。
これは、住宅ローンを組む時に支払額が障害にならないように、社内FPとすればするアドバイスであり、ローンを組むための背中を押す『魔法の言葉』でもあるといえます。
保険の窓口やTVでさんざん宣伝している保険系のFPに保険の話を聞きに行くケースを考えてみましょう。ほとんどの方は、何がしかの不安があって保険に加入すべきか迷っていると思います。
あるいは職域に瓦版ニュースや飴等を持って会社にやってくる生保レディの方は、ご家族のちょっとした情報や変化を感じ取り、そろそろ保険は如何ですかとか、皆さん大体このあたりに加入されていますよとか、昇進や家族の変化に合わせてザックリとした見積提案書を作ってきたりして、接点の拡大を計って保険に誘導してきます。
厳しい保険営業の世界
多くの保険セールスの方は、ロープレを実践されています。ロープレとは、「ロールプレイング」の略のことで、日本語では予行練習のことをいいます。
「ロープレ」は英語の「role (役割)」と「playing (演じる)」をカタカナ語にして組み合わせた言葉で、実際の営業の模擬訓練のことを指します。
営業の世界では、管理顧客をどれだけ作りその中からどの位の見込み客を見つけられるかが全てです。そして提案件数と成約件数、成約率といった科学の世界でも営業は成り立っているのです。
職場では実際の営業現場を想定して、同僚や先輩を相手にセールストークを展開してクロージングや応酬話法を磨きます。そして第三者からロープレに対するフィードバックを受けて改善をしたりしています。
世の中には、『ロープレ千本ノック』という言葉すら存在しています。セールスの成功率を上げるには、セールストークの質やコミュニケーション能力の向上、見込み客からの意外な質問に対してスムーズに対応するための訓練を日々行う必要があります。
もちろん新商品に対する保険の知識も必要になりますから、知識と情報、他社との比較などもロープレの中や、先輩・同僚のロープレから学び取る事も沢山あります。
また、セールスアプローチブックなどによる商品説明だけでない実践的な知識も習得するのです。
セールスには筋書きとかストーリーがあり、マニュアル化されているものも多くあります。保険台本ともいえるトークスクリプトをシーン別に設定して、クロージングの技術を学びます。
場合によってはAとBならどちらが良いかとか、YESといくつか言わせて加入のハードルを下げる技法やテストクロージングの技術も学びます。
僕は、保険の業界は体験したことがありません。クルマの業界に長年いましたので、この業界でも同様のことが日常行われていましたし、セールス大会のようなTOP of TOPを決めるような経験や運営を体験してきました。
セールスの業界は大体そうです。ある意味売ったもの勝ちの世界であり、売れないゼロ戦セールスは『地獄の特訓』を受けたりするのです。
僕も前職では、人材開発室の室長や研修グループの運営などを経験してきましたから、受けるほうも気持ちや実施するほうの気持ちも分かるのです。
以前、保険の営業を管理されていた方に話を聞いたことがありましたが、セールスポイントや応酬話法の徹底的な訓練はするものの、不都合な係数や数値はネガティブになるので敢えて教えないと話されていました。
つまり営業自体もその自社の取り扱う保険の素晴らしい部分を中心に教えられ、不都合な事実などは知らないことが多いのだそうです。
そんな保険窓口や保険営業と話せば、自社の取り扱う保険での問題解決策の提案となるのは当たり前です。
保険レディに資産形成の話をしたら外貨建て保険や貯蓄型の保険の提案にあるのが当たり前であり、iDeCoやNISAの提案になる事は絶対にありません。
おすすめは聞いてはいけない訳
ですからおススメは聞いてはいけないのです。あるいは予算などを話したら、その予算に合わせていくつかの組み合わせの提案書の作成になってしまうのが当たり前です。
これは営業サイドの問題だけではなく、無防備な状態で”商談”となりホットユーザーになってしまったご自身の問題でもあるのです。
あなたのお金の心配を解消してマネー・ストレスフリーを支援する下町FPの横谷です。下町FPブログ・メルマガ講座は、FP視点からの簡単なワンポイントで情報を整理したお金のお得情報をお届け発信をしています。
保険を見直したい、見直しが必要な訳
そんな保険やセールスの世界です。
あなたが不用意に聞いてしまったり、近づいてしまったりすれば、見込み客の仲間入りをします。もちろん手持ちの商品での提案となり、例のロープレの技術がここで活きてくるのです。
保険の営業は、人の死や不意の病など、人生の中で誰もが起こりうる不安に対して、万一の備えを解決する手段として保険を顧客に連想、想起させて、「生活の不安解消の手段」や「残された家族への贈り物」を強調する需要喚起型のコンサル営業です。
無防備なあなたが勝てるわけがありません。結果として日本は、冒頭書いたような保険大国になっています。
生命保険文化センターでは、「2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査(速報版)」をまとめました。
年間37万円の保険平均支出
この調査は、一般家庭における生命保険の加入実態および生命保険・生活保障に対する考え方を把握することを目的として、1965(昭和40)年以降3年毎に実施している調査です。
この調査の中で、世帯当たりの年間保険支出料を毎回調査しています。
昔よりは情報がネットで入手できる環境になったこともあり、支払保険料は減っているものの、令和3年の払込保険料の平均は37.1万円というまだまだ高額の保険料でした。
出典 2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査
この数字は世界的に見ても高額保険料です。一世帯当たりの年間保険料は、平均で37.1万円を加入しているとすると30年間払い続けると一体いくらの支払いになるのでしょうか。
37.1万円×30年間=1,113万円です。
FP協会によれば、お子さんの保育園から大学までの用意すべき教育支出を1,000万円としています。
実際には1,400万円位かかるのですが、それと同等のトータルで1,113万円、終身や60歳払い済みとして40年間ならば1,484万円にもなります。
出典 日本FP協会HPより
毎月支払うサブスクリプションのように定期的に支払いを当たり前のように続けて、所得控除にもなるからと保険に大金を支払い人生の3大支出と同等の支出にするのは合理的とは言えません。
ライフプラン相談をする時、ご相談者様のあらゆるデータが必要になります。
収入・昇給・退職金・貯蓄・運用・支出・ローン・年金・保険・介護費用などを一緒にいろいろと考える中で、この保険料の存在は見逃せない領域です。
実際、年間で50万円以上も保険料を支払っている世帯も珍しくありません。
不安な気持ちで様々な種類の保険に加入していたり、追加の追加で医療保険に加入したりしているのが日本の保険事情のようです。
僕はいつも相談者様にお伝えするのは、保険は万一のどうにもならないものに使うものだと説明をしています。
それは遺族への生命保障、火災保険保障、自動車保険保障の三つだけだと説明しています。
もちろん窓口で相談したり、見直しをお願いすると支払額は安くなったり、保障の質が担保されたりするのは事実ですが、貯蓄でカバーできるものは貯蓄でカバーしましょうと伝えているのです。
決してやめましょうとは言わないのがこの世界です。(下取り的な話が中心です)
保険は貯蓄が増えたり、家族が増えたり、住宅を買ったり、子が大きくなったり、子が独立したりすれば必要保障額が変化しますから見直しをするのは合理的な選択です。
一般的には、子が生まれた特に末子が生まれた時は、貯蓄も少なく資産形成も出来ておらず、保険の保障額が最大となる時期とされており、年々子の成長と共に資産形成も進んで飛躍的に保障額が減っていくのが通常だからです。
保険で言えば万一の時、医療保険などは一日数千円の支払いだったり、手術で10万円の受取りだったりします。一日入院で支払われるタイプものもありますが、それは保険でなくても対応できます。
実際入院の6割は、14日前後ですし保険外の自費支払いも食事代込みでも一日2万円ちょっとです。14日分を担保するなら30万円や50万円の貯蓄がある方は十分でしょう。
世界的に見ても保険大国日本、保険セールスに弱いのが日本人です。
保険ののプロは、セールスのプロフェッショナルです。こんな警告的な話をするのは、保険や証券、金融商品を販売しない独立系非販売のFPだけだと思いますからひとつの意見として聞いてください。
まずは公的保険の知識強化をしよう
僕は保険否定派ではありません。自分も加入していますが、月の支払いは多くとも5千円から1万円だと思っています。
これ以上に保険料が大きい人は、優先順位が違っている可能性があります。追加で加入しているのは民間の保険であり、日本にはもっとすごい保険があり、全国民が加入しています。
健康保険制度です。国民の義務として社会保険の主なものに健康保険、年金保険、介護保険、雇用保険、労災保険があります。
民間の保険と違って保険料収入だけでなく、多くの税金も投入されている世界に誇れる保険制度です。
医療保険の代わりに貯蓄、大きな医療支出には高額療養費制度もあり、病気やけがで働けなくなり、万一給料も停止されれば、傷病手当金が制度で支給開始から1年半支払われ、イメージとして2/3の給与は確実に確保できるのです。
金融庁が2021年の9月に生保業界に『保険加入時の公的保障制度の説明を』求め、源信が走ったのもうなずける話です。
つまり、生命保険を販売する中で、万一の際に年金や医療保険などの公的保障がどのくらい受け取れるかを十分説明すべきだと注文を付けたのです。
これは現在の生命保険の営業手法に一石を投じたものであり、本来は公助で保障される部分を説明もせず、不安をあおり加入させるといった過剰契約を防ぐのが狙いのようです。今後の生保業界の販売手法の変換を求めたものだと思います。
窓口や営業におすすめを聞いてはいけない理由
おすすめを聞いてはいけない。金融商品でもこれは同様です。退職金が入ったので運用したいが、おすすめはありますか?
これは金融機関に絶対言ってはならないNGワードです。運用の勉強をしてから行動するのが鉄則であり、大金が入ると銀行はその使途についてお礼の電話と共に挨拶に行きたいとかが電話等で連絡があります。
とにかくまずは定期保険でもなんでも囲い込むことです。多少利率の良い定期預金でも短期で満期になると、つくった人間関係を武器に投資信託などのセールスが行われます。支店長が挨拶をする事も良くあります。
大事なことを忘れていませんか?
彼らはロープレを日々行っており、予算という販売目標を常に抱えているセールス会社員です。
自社の取扱商品だけしか伝えませんし、包括的な僕らが行うような家計の臓物までお聞きするコンサルティングを行うわけでもなく、自社製品に誘導するのが仕事です。これを顧客の幸せとの利益相反と言っていいでしょう。
本来は包括的に見て、異なる違う商品やアプローチ方法がベストプランにもかかわらず、敢えて顧客に不利になっる提案もしてしまうのが実態です。
成績とインセンティブの世界は、ゆうちょで行われた保険下取りと称する契約や重複契約になりがちなのです。少なくとも公的保障をよく理解したうえで保険は相談しましょう。
保険の不安商法に対抗する
保険は不安商法だと申し上げました。
金融庁は、保険会社向けの監督指針を改正して、販売の際に公的年金の受け取り試算額や公的保険制度についての情報提供を適切に行うよう業界に指導しました。
セールスにとっては顧客利益よりも自社の利益を優先してきた結果でもあるといえます。
【保険会社向けの総合的な監督指針 一部改正】
原文です(R3.12.28)
保険会社や保険募集人等が保険募集を行う際には、顧客の意向を把握し、意向に沿った保険契約の提案を行うことが重要です。
監督上の着眼点
今般、この点について、公的保険を補完する民間保険の趣旨に鑑み、保険募集人等が公的保険制度について適切に理解をし、そのうえで、顧客に対して、公的保険制度等に関する適切な情報提供を行うことによって、顧客が自らの抱えるリスクやそれに応じた保障の必要性を理解したうえでその意向に沿って保険契約の締結がなされることが図られているかという点などを監督上の着眼点として明確化するものです。
なお、厚生労働省において、個々人の年金の「見える化」のための取組みとして、公的年金の受取見込み額を簡易に試算できるWebページについて令和4年度の運用開始予定に向けて準備中です。
金融庁HPより
「保険会社向けの総合的な監督指針」等の一部改正(案)に対するパブリックコメントの結果等について
もともと民間が販売するこれらの保険は、公的保険制度を補完する位置づけの筈が、いつの間にか逆転してしまったのが日本の実態・常識になっています。
この公的保障を理解すれば、民間の保険加入者の家計負担が軽減されるのは明白だと思われます。
年金・医療・雇用などの毎月給与から天引きされている保険料は大金であり、これこそがもっとも生活維持の前提となる有効な公的保障です。
万一の時、その時、どの位のお金が公的保険から受給できるかをしっかりと理解しないまま、保険を買ってはいけません。
保険の見直しは、ご自身で得た情報を精査して行ってから、保険セールスに確認してみるくらいのリテラシーがないと金融庁の危惧された状態が続くことにもなりかねません。
自身の保障は、自身で作る時代の到来です。学校や会社でも習わなかった社会保障、民間保険を検討する前に勉強してみましょう。保険の見え方がまったく違ってくるかもしれません。
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★このFPブログ講座を書いてる人★
独立系非販売の数少ないファイナンシャルプランナーとして活動中
40代でも間に合う5,000万円資産形成を提唱しておりメディア記事も多数寄稿
経験ノウハウによる老後資金や資産形成へ向けた家計改善、iDeCoやNISA運用による資産形成、バランスの取れた米国国債債券投資を組み合わせてのアセットプラン作成、ライフプランからのアドバイスやリタイアメント向け相談やコンサルタントを行っている。
東京浅草の下町FPとして、ブログ講座やメルマガが好評で読者・会員も多数。
この講座をベースとして注目のFP監修本『最新版 お金の教科書』も発刊され、資産形成ノウハウを公開している。
保険や金融商品を販売しない顧客中心のコンサルで、様々なサービスを提供中。
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数あるファイナンシャルプランナー事務所から当事務所への訪問ありがとうございます。トータルサポート代表の横谷です。
当事務所は、保険も金融商品も販売しない、コンサルタントのみで開業している数少ない『独立系非販売』のFP事務所です。当所の特徴は、国家資格のFP資格とともに実際の資産運用を行っている現役の投資家でもある点です。
人生の3大資金といわれる『教育資金』『住宅資金』『老後資金』などの資産形成やFIREと言われる早期リタイアの為の資産形成などの運用対策や貯蓄対策を中心にして活動しています。
- 資産形成に挑戦したい方
- 資産運用を始めたい、やられている方
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そんな方には最適なファイナンシャルプランナーです。
自身もFIREと言われる経済的自立とともに資産運用を行っており、現在いろいろな運用先から年間400万円を超える配当・分配金などのインカム収入を得ています、その経験やノウハウもコンサルティングで活用しています。
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