独立系FP解説 コロナ禍、家賃モラトリアム支払い猶予という考え方もありでは【下町FPブログBlog】コラム
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コロナ禍、家賃モラトリアム支払い猶予という考え方もありでは
お金にまつわる様々な有用な知識を独自の視点や切り口で独立系FP&非販売のFPが解説します。
新型コロナウイルスの感染拡大で家賃の支払いが困難になった飲食店などを救済するため、与野党が家賃の減免や猶予などの対策案をいろいろと打ち出し始めています。
遅きに失した感はあるものの、何がしかの補助金・支援金・給付金か遅延保障を打ち出さないと大変な事態になりそうです。
中小の商店の平均家賃が40万円~50万円と言われてるからです。そこでモラトリアムについて考えてみました。
まずはモラトリアムと言う言葉、最近聞いたことがある方もいるかもしれません。
国会でもそれに近い話がいろいろと論議されています。モラトリアムとは、支払猶予令 – 天災、恐慌などの際に起こった金融混乱を抑えるため、手形の決済、預金の払い戻しなどを一時的に猶予する措置の事です。
日本では、1923年の関東大震災で初めて発動され、被災した企業が支払いができなくなる事態に対応しました。
その時は非常事態を想定し、緊急勅令によるモラトリアムにより支払期限を迎える金融債権のうち、被災地域の企業・住民が債務者になっているものには支払期限が1か月間猶予されました。
当時は大正デモクラシーと呼ばれた自由な時代でしたが、震災によって世の中は変貌してしてしまいました。
そこで、緊急勅令によるモラトリアムによって、震災手形の発行や震災手形割引損失補償令を公布し、手形による損失も政府が補償する体制を整えて対応しました。
功を奏したものの、この震災手形の一部は不良債権化してしまい、昭和金融恐慌を招くことになる原因の一つになったとされています。
最近では2008年のリーマン・ショックや2011年の東日本大震災といった非常事態が起こりました。お金が動かなくなる非常緊急事態が起こると賃金と家賃が常に問題になります。
そこで経済が混乱しないように円滑な金融措置を取ることを目的に政府が整備した法案法律が「金融円滑化法」、通称「モラトリアム法」でした。
リーマン・ショックに伴う経済的な混乱による事業運転資金や設備資金などを融資している金融機関に対して、「返済困窮者からの返済の猶予や返済期間の延長、金利の減免などの条件緩和要望には誠実に対応すること」とした法律です。
あなたのお金の心配を解消してマネーストレスフリーを支援する下町FPの横谷です。
今、この法自体の期限は切れているものの、新型コロナで困っている中小企業救済のためにの中小企業金融円滑化法(通称モラトリアム法)の主旨を「遺産」とした家賃返済に向けた様々な論議がされています。
旧民主党政権下に施行されたモラトリアム法が形を変えて復活するのでしょうか。とにかくスピードが命です。
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FPブログ解説 家賃モラトリアムの有効性は
平成の世のリーマンショックに対応した「モラトリアム法」には強制力はありませんでした。建付けとしては、金融機関にリーマンショックでの「誠実対応」を求めただけの法律です。
しかし実際の金融機関では、ほとんどの返済猶予や金利減免などの条件緩和への要望に対応をしたそうです。
金融庁によると、条件緩和要望に対して「拒絶」は全体のわずか5%前後程度しかなかったそうです。時限立法でしたが、その後の10年を通じて要望に対する条件緩和実行率は95%前後の対応がされたとの事でした。
今回、まず国土交通省は新型コロナウイルスの感染拡大の影響で家賃負担が重くなっているテナントへの支援策をしました。
家賃の支払い猶予や免除に応じたビル所有者に対して、税金や社会保険料の納付を1年間猶予したのです。これはテナントビルの所有者の負担軽減を通じて店子の資金繰りを支援するものです。
賃料支払いの猶予・減免で収入が急減した場合には、固定資産税や都市計画税の減免措置対象にする。
今年2~10月で3カ月間の収入が前年同期比30~50%未満減った場合は半分、50%以上減った場合は全額を免除するというものでした。
この支援策の主旨は、テナントとオーナーが一体となってこの危機を乗り越えることでした。
しかし、莫大な内部留保を持っている大企業とは違い、今月の家賃が支払えない中小の企業、商店も、3ヶ月はともたない会社が沢山あると想定され、税制優遇程度だけでは問題が解決しない状況です。
つまり真水、現金なり、何がしかをどう投入するのか、家賃対策をするのかが与野党での焦点となってきているのです。
家賃支払い猶予は、テナント支援策になるのか
この問題をスピーディに解決する方法として、”モラトリアム”の適用 が考えられるのではないでしょうか?
一部の諸外国でもモラトリアムを実施しています。
例えば米国では120日間、賃料の滞納があった場合でも、家主は延滞料を徴収しないことや、この期間が過ぎても30日以内の立ち退きを強要できないことなどを規定したり、各国でも様々な対策が進んでいます。
ただし、欧州のように消費税を15~20%も取っていないと家賃保証・補助は難しいかもしれませんし、時間が掛かります、
今回の日本の対応案での対象者の多くは、商店や企業です。個人と違い店舗の家賃は非常に高く40万、50万はさらです。
オフィス等は数百万円の家賃です。少なくとも個人事業主〜中堅企業まで、ある程度の猶予や担保が早急に必要になるのではないでしょうか。
雇用調整助成金なども時間が掛かり過ぎ、中小100%補償しても、一人8330円で数カ月では間に合いません。
今聞こえてくる “家賃支払いモラトリアム(猶予)法案” の考え方やポイントだけを抜粋して考えてみましょう。
特に中小の飲食店は大変な状況が続いています。例えば、やっと独立して店舗を立ち上げ、軌道に乗りかけてきた店などは、経営基盤がぜい弱です。
そんな中、この「経済停止の異常事態」が発生しました。しかも、休業だか自粛だか不確実な中で自粛を余儀なくされています。
そして外出外食の自粛制限で、お客さんが来ないというトリプルパンチの中途半端が続いています。確かに緊急事態宣言は必要でしたが、それに対応したセーフティサポートが不足しているのです。
元々、政府の基本方針は、特定損失には「補償はしない」処からスタートしています。
現在の支援方法は、米国型の個人にお金をばらまくやり方と雇用を支える企業に手厚く補填する欧州型の二つがありますが、各党も政府も民意を気にして、いいとこどりをしており中途半端で逆に方向性が見えなくなってると感じます。
問題はスティークホルダー(オーナー・店子・金融機関・政府)が納得出来る協力体制です。
僕はこの状態が3ヶ月も続けば、一気に倒産、廃業、最後には失業率が急上昇する危険が目の前に迫っていると感じています。手続きで時間が掛かる、振り込みで時間が掛かるでは、間に合わなくなるのです。過去最大規模の予算とされているものの、真水での支援や制度が現行の雇用調整助成金や事業継続制度融資では家賃対応としては間に合わず機能しきれません。
まずは宣言からスタートして、半年間の家賃支払い猶予と、万一の政府補償や罰則規定で対応可能とする位のスピード感が求められると思います。
今は、非常時ですからスピード優先で、不動産オーナーとテナントの話し合いの義務化や家賃の減免交渉に応じる義務化、そして不動産オーナーの資金繰り対応でローンなどで猶予・減免ができない場合は、政府系金融機関が家賃の立て替えを行う。
あるい一定の保障をする。最後に立て替えた家賃はコロナ終息後、金融機関がテナントに請求して回収する。こんな対応があれば潰れる店も減るでしょう。
会社が倒産する前にお金が100万円、200万円と振り込まるのには、時間が無さすぎると感じています。
それを解決する手段は何か? 、解決策はないものかと考えると、この”モラトリアム(猶予)”が最良だと思います。早急に家賃を猶予される体制を作ってもらい、中小の会社が安心できる事が重要だと感じています。
過去・これからのモラトリアムの問題点
リーマンショックの時「モラトリアム法」の恩恵を受けた企業は少なくなかったそうです。危機を乗り越え経営再建を果たした会社も何社もあると聞いています。
今はスピード重視での対応が必須で、それを踏まえて金融機関やテナントオーナー、店子が協力し合えればいいのだと思います。
確かに大正時代の関東大震災の時も全てがうまく行ったわけではありません。最終的に一部の手形(「震災手形」)を勅令により30日間の支払期限を延長したもののに過ぎません。
その後「震災手形」の影響などで金融恐慌が起こってしまいました。
ただしモラトリアムは、事業者保護と同時に雇用保護であり、金融秩序を守るという目的が強いものです。一方、企業淘汰の自由主義の原則から見ると社会主義的な政策だということを忘れてはいけないでしょう。
つまり、本来自由競争の中で淘汰されるべき企業を延命させる危険性をはらんでいるという事は、事実です。
社会が健全に活性化するには適度な新陳代謝が必要で、社会のニーズに適用できない、変化に対応できなくなった企業は市場から退去し、新しいプレーヤーが参入するというが市場原理の筈です。
今は非常事態でですから致し方ないのですが、補助金で事業を続けるようなら、新陳代謝をなくしてしまい企業や働く人たちの生産性が高まらない社会を放棄してしまうのは、健全な状態でなくなってしまいます。
ですから政府は大変難しい舵取りが求められますが、まずは目の前の溺れる人や企業に手を差し伸べて、セーフティネットを作る法案や対応を決定してほしいと思います。
そのひとつの考え方が、モラトリアムではないでしょうか?。
溺れている人に、後から浮き輪を投げても遅すぎるのであり、それを解決するアイデアがモラトリアムだと思います。
☞ポイント
・家賃やローンや売掛金などの支払い滞納対応には、店子・オーナー・金融機関・政府の協力体制と納得が急務
・モラトリアムの早期履行が支援金遅延問題を解決できる可能性が高い。
・一歩間違うと不良債権の発生やゾンピ企業の延命にもなりかねない。
今回のテーマのモラトリアムとは支払い猶予で、家賃の棒引きの事ではありません。支払い期限を延長する猶予するものです。
家賃をなくすることは店子にとっては朗報でしょうが、テナントオーナー側は承服はできないでしょう。
ですから法案により、店子は支払いを棚上げ猶予、オーナーは電気水道代、固定資産税、ローンの支払いなどを棚上げ猶予してもらう。
あるいは小売や卸の関係では、仕入れ代金の支払いや銀行借入れの返済も猶予する。そして政府がセーフティネットをつくる。これが出来ればスピード感のある対応が出来そうではありませんか。
現在は補助金や助成金、現行法の拡大などを活用し、様々な手当をしていますが対応しきれていないのが事実です。
一方、政府が、モラトリアムは宣言すれば、一旦は相当のスピード感をもって安定しそうです。毎日多くの中小企業が倒産しており、企業を倒産させてしまうと、そこから立ち上がる企業はほとんどいません。
セーブカンパニーは重要です。倒産すれば社員、設備、在庫、取引先などのすべてが消失し、元に戻ることはなくなります。
今必要なものは、いつ実行されるかわからない政府の支援金などではなく、「モラトリアム」(支払い猶予)だと感じています。
この難題に対応する法案や宣言を早急に実行しなくてはならないと思いますが、皆さんいかがでしょうか?。
今日は、店子と大家、家賃と賃貸業のお金にまつわる観点をFPの観点から”モラトリアム”というテーマで考えてみました。
私たちが生活する上では、住宅に関わる費用はとても大きく重くのしかかります。家賃・住宅ローン・建築ローン・管理費・固定資産税と揚げたらキリがない程の大きなお金が動いています。
生活費10万円支援も分かりますが、この辺の不安解決策が早急に求められているのです。
★このFPブログ講座を書いてる人★
独立系非販売の数少ないファイナンシャルプランナーとして活動中
40代でも間に合う5,000万円資産形成を提唱しておりメディア記事も多数寄稿
経験ノウハウによる老後資金や資産形成へ向けた家計改善、iDeCoやNISA運用による資産形成、バランスの取れた米国国債債券投資を組み合わせてのアセットプラン作成、ライフプランからのアドバイスやリタイアメント向け相談やコンサルタントを行っている。
東京浅草の下町FPとして、ブログ講座やメルマガが好評で読者・会員も多数。
この講座をベースとして注目のFP監修本『最新版 お金の教科書』も発刊され、資産形成ノウハウを公開している。
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